ヨガの基本ポーズである山のポーズ(タダーサナ/Tadasana)は、一見ただ立っているだけのように見えますが、姿勢改善・呼吸の安定・集中力アップなど多くの効果をもたらす重要なアーサナです。
足裏から頭頂まで一本の軸を通し、体と心をまっすぐに整えることで、他のポーズや日常の動きが安定し、怪我の予防にもつながります。
本記事では、山のポーズの正しいやり方とポイント、得られる効果を、日本語と英語の両方で詳しく解説します。
ヨガ初心者はもちろん、英語でヨガを教えたいインストラクターや海外での指導を目指す方にも役立つ英語インストラクション付き解説です。
ぜひ日々の練習や指導に活用してください。
- 山のポーズ(タダーサナ)とは?
- 山のポーズ(タダーサナ)の主な効果
- 山のポーズ(タダーサナ)のやり方と誘導(インストラクション)
- 山のポーズ(タダーサナ)の英語ワンポイント
- 山のポーズ(タダーサナ)のアライメント【イラスト付き】
- 山のポーズ(タダーサナ)で使われる主な筋肉と解剖学
- 初心者が山のポーズ(タダーサナ)を安定させるコツ
- 山のポーズ(タダーサナ)のよくある間違いと修正方法
- 山のポーズ(タダーサナ)と瞑想の相性
- 山のポーズ(タダーサナ)を毎日練習するメリット
- 太陽礼拝と山のポーズ(タダーサナ)の関係
- 山のポーズ(タダーサナ)からダウンドッグへの移行方法
- Q&A:山のポーズ(タダーサナ)でよくある質問と解決策
- まとめ
山のポーズ(タダーサナ)とは?

山のポーズ(タダーサナ / Tadasana, Mountain Pose)は、ヨガの基本ポーズのひとつで、すべての立位ポーズの基礎となります。
一見ただ立っているだけのように見えますが、足元から頭頂まで全身を意識的に使い、姿勢や呼吸を整える効果があります。
- サンスクリット語の「Tada(山)」+「Asana(ポーズ)」=山のポーズ
- 太陽礼拝(Surya Namaskar)の最初と最後に行われることが多い
- 姿勢改善や集中力向上に効果的
「山のポーズはすべての立位ポーズの基礎となります。正しい姿勢を身につけるには、プロの指導を受けるのが一番の近道です。人気のホットヨガスタジオについて知りたい方は、カルドとラバの比較記事やお得なキャンペーン情報もぜひチェックしてみてください。
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山のポーズ(タダーサナ)の主な効果

- 姿勢を整え、猫背や反り腰の改善をサポート
- 足裏のアーチを引き上げ、バランス感覚を高める
- 呼吸が深まり、自律神経を整える
- 集中力アップ、マインドフルネス効果
タダーサナは、ただ立つだけのポーズではありません。それは、「一本の揺るぎない軸を体に通す」ための、非常に重要な練習です。
私たちは普段、無意識のうちに姿勢が崩れ、体が左右に偏ったり、腰が反ったり、背中が丸まったりしがちです。しかし、タダーサナでは、この無意識の癖を正し、全身が一本の線に統合される感覚を築いていきます。
この「一本の軸」を意識することで、以下の効果が生まれます。
- 揺るぎない安定感: 足裏で大地を押し、体の中心線に向かってエネルギーを集めることで、地面にしっかりと根を張った大木のように、どんな状況でもブレない安定感が生まれます。
- 身体の統合: 丹田、骨盤、背骨、頭頂までが一直線につながることで、体の各部位がバラバラに機能するのではなく、一つのまとまったシステムとして働くようになります。この統合感が、他のポーズの土台を築き、怪我の予防にもつながります。
- 内なる力強さ: 見た目は静止しているポーズですが、内部では無数の筋肉が働き、重力に抗って体を支えています。この「一本の軸」を意識することで、内側から湧き上がるような力強さと、それがもたらす安心感を感じることができます。
タダーサナの練習は、単なるストレッチや筋力トレーニングではなく、この「一本の軸」を自分自身の中に発見し、育んでいくための瞑想的なプラクティスです。ぜひ、この感覚を大切にしながら、ポーズを深めてみてください。
山のポーズ(タダーサナ)のやり方と誘導(インストラクション)
以下は英語インストラクションと日本語訳をセットで掲載しています。
ヨガを英語で教えたい方や、英語学習中の方にも役立ちます。
足元を安定させる

- Start by standing with your feet together, or hip-width apart if that’s more comfortable.
- Press evenly through all four corners of your feet: the base of the big toe, the base of the pinky toe, the inner heel, and the outer heel.
- Lift your toes, spread them wide, and then gently place them back down on the mat.
- Feel the arches of your feet lift slightly as you root down into the earth.
- 足はそろえるか、または腰幅に開いて立ちます(自分が安定しやすいほうでOK)。
- 足の4点(親指の付け根、小指の付け根、内かかと、外かかと)に均等に体重をかけます。
- つま先を持ち上げ、指を大きく広げ、ゆっくりマットに戻します。
- 足のアーチが軽く持ち上がり、大地に根を下ろす感覚を感じましょう。
脚と骨盤を整える
- Draw the kneecaps up, engaging the thigh muscles.
- Lift your inner thighs and hug them toward each other.
- Be careful not to lock your knees.
- Tuck your tailbone down toward the floor to find a neutral pelvis. Avoid overarching your lower back.
- 膝のお皿を引き上げるようにして太ももを引き締めて。
- 内ももを引き上げ、軽く寄せ合います。
- 膝はロックしすぎないように注意。
- 尾骨を床方向に軽く下げ、骨盤をニュートラルに保ちます。腰を反りすぎないようにしましょう。
胴体と背骨を伸ばす

- Draw your lower belly in, engaging your core.
- Imagine you’re gently pulling your navel towards your spine.
- As you inhale, lift your chest and draw your shoulder blades down and back, away from your ears.
- Gently draw your lower ribs in to stabilize your core.
- Feel your spine lengthen as you press your feet into the earth and reach the crown of your head toward the sky.
- 下腹部を軽く引き込み、体幹(コア)を意識します。おへそを背骨に近づけるイメージです。
- 吸う息とともに胸を引き上げ、肩甲骨を耳から遠ざけるように背中側へ下げます。
- 下位肋骨を軽く内側へ引き込み、体幹を安定させます。
- 足で大地を押し、頭頂を天井方向に伸ばして背骨を長く保ちましょう。
バランスと呼吸を整える
- Let your arms rest by your sides, palms facing forward or inward.
- Lengthen the back of your neck by gently tucking your chin.
- Your ears, shoulders, hips, and ankles should be in one straight line.
- Close your eyes or find a soft gaze straight ahead.
- Breathe slowly and deeply, feeling the energy flow from the earth, up through your feet, and out the crown of your head.
- 腕は体の横に自然に下ろし、手のひらは前または内側に向けます。
- あごを軽く引き、首の後ろを長く保ちます。耳・肩・腰・足首が一直線になるように意識します。
- 目を閉じるか、優しい視線を前方に向けます。
- ゆったりと深く呼吸し、足裏から頭頂へとエネルギーが流れる感覚を味わいましょう。
なお、英語でヨガを本格的に学びたい方は以下の本を参考にしてください。
山のポーズ(タダーサナ)の英語ワンポイント
ここでは、タダーサナの英語インストラクションに出てくる、特に大切な英単語をピックアップして解説します。
「hug」の意味:様々なニュアンスを持つ魔法の動詞
タダーサナのインストラクションで「hug your inner thighs toward each other
」という言葉が出てくることがあります。
これは直訳の「内ももを抱きしめる」という意味ではなく、「内ももを体の中心線に向かって引き寄せる」というニュアンスです。
ヨガのインストラクションにおける「hug
」は、単に体を動かすだけでなく、体の各部位をバラバラにせず、中心(コア)に向かってエネルギーを集め、安定した土台を築くための重要な言葉です。
なぜ「中心線」への意識が大切なのか?
私たちの体は、普段の生活習慣や癖によって、左右のバランスが崩れがちです。中心線への意識は、この左右の偏りを整え、「軸」を意識するための鍵となります。
- 例:タダーサナの場合
- 内ももを「
hug
」することで、両脚が左右から中心線に向かって集まり、まるで一本の強い柱のようになります。 - この一本の軸が、全身を支え、揺るぎない安定感を生み出します。
- この動きは、太ももの内側にある内転筋を活性化させ、骨盤を正しい位置に保つ助けにもなります。
- 内ももを「
「ロック(lock)」の意味
「lock」は英語で「鍵をかける」「固定する」という意味ですが、ヨガのインストラクションで「lock your knees
」と言う場合、それは「膝関節を伸ばしきって、固めてしまう状態」を指します。
これは、まっすぐ立っているように見えても、筋肉の力ではなく骨と関節だけで体を支えている状態です。特に、柔軟性が高い人や、関節が過度に伸びやすい人(反張膝)に起こりやすいです。
「ロック」することのデメリット
ヨガでは、この状態を避けるべきだと考えられています。その主な理由は以下の通りです。
- 関節への負担: 筋肉が働かないため、体重の重みが直接、膝関節や靭帯にかかり、膝を痛めるリスクが高まります。
- エネルギーの流れの阻害: 関節を固めてしまうと、足裏から上に流れるエネルギーがそこで止まってしまい、ポーズ全体の活性化が妨げられます。
- 筋肉の不活性化: タダーサナは全身の筋肉を使うポーズですが、膝をロックすると太ももの筋肉が休んでしまい、ポーズの効果が半減します。
「ロックしないまっすぐ」とは?
「ロックしないまっすぐ」とは、太ももの筋肉を働かせ、ひざのお皿を軽く引き上げるように意識した状態です。
- 実践: 膝を伸ばしきった状態から、ほんの少しだけ緩めてみてください。そして、その状態で太ももの筋肉(特に前もも)を締め、ひざのお皿が少しだけ上に持ち上がる感覚を掴みます。
この状態であれば、膝への負担がなく、下半身の筋肉がしっかりと働いたまま、安定して立つことができます。タダーサナでこの感覚を掴むことで、安全かつ効果的にポーズを深めることができるでしょう。
「tuck」の意味
「tuck」は、英語で「押し込む」「折り込む」といった意味ですが、ヨガのインストラクションでは、「体の特定の部位を内側や下方向に優しく引き込む」というニュアンスで使われます。
特に「Tuck your tailbone down
」(尾骨を下に押し込んで)という指示は、タダーサナ(山のポーズ)や多くのポーズで、骨盤を安定させ、反り腰を防ぐために非常に重要な動きです。
なぜ「tuck」という言葉が使われるのか?
- 優しさとコントロール: 「push」(押す)のように力任せに動かすのではなく、体の内側の意識を使って優しくコントロールするニュアンスを含みます。
- 安定性の確立: この動きによって、骨盤が前傾(腰が反る)でも後傾(背中が丸まる)でもない、ニュートラル(中立)な位置に保たれます。これにより、土台となる骨盤が安定し、その上に立つ背骨がまっすぐに伸びやすくなります。
具体的な感覚の掴み方
「Tuck your tailbone down」の感覚が分かりにくい場合は、以下のイメージを持つと良いでしょう。
- 腰が反らないようにする: 普通に立った状態で、お尻が後ろに突き出ていないか、腰が反っていないかを確認します。
- 尾骨を床に向ける: 尾骨(お尻の割れ目の上にある小さな骨)の先を、まるで床に向かって垂らすかのように、下に向ける意識を持ちます。
- 恥骨を少し持ち上げる: 下腹部を軽く引き締め、恥骨を少しおへそのほうに持ち上げるような意識でも、同じ動きができます。
この動きによって、腰が反るのを防ぎ、下腹部が引き締まり、全身の軸が整います。タダーサナを練習する際は、この「tuck」の感覚を意識して、骨盤の安定感を感じてみてください。
なお、英語でヨガを本格的に学びたい方は以下の記事も参考にしてください。
山のポーズ(タダーサナ)のアライメント【イラスト付き】

タダーサナ(山のポーズ)は、一見シンプルな直立姿勢ですが、解剖学的に見ると全身のアライメントを精密に整える重要な基本ポーズです。正しいアライメントを意識することで、姿勢改善や体幹強化、呼吸の質向上につながります。
足部の安定と荷重バランス
- 母趾球・小趾球・踵の三点で均等に体重を支える。
- アーチ(土踏まず)を保ち、過度の内反(回内)・外反(回外)を防ぐ。
- 足趾を軽く開き、地面をつかむように意識。
膝関節の伸展と過伸展の防止
- 大腿四頭筋で膝蓋骨を軽く引き上げ、膝をロックしない。
- 膝頭が真正面を向くよう、大腿骨の回旋を調整。
- 膝関節周囲の靭帯に負担をかけない位置を保つ。
骨盤と腰椎のニュートラル
- 前傾・後傾を避け、恥骨と尾骨の距離を均等に保つ。
- 腸腰筋で骨盤を安定させ、腰椎の自然な前弯を維持。
- 臀筋を軽く引き締め、股関節を中心に安定させる。
胸郭と肩甲骨の位置
- 肋骨を前に突き出さず、腹横筋で内臓を軽く引き上げる。
- 肩甲骨は軽く下制&内転し、胸を開きながら首を詰めない。
- 鎖骨を横に広げ、胸郭全体の呼吸可動域を確保。
頭部と頸椎のアライメント
- 頭頂が天井に引き上げられるイメージで、頸椎の自然な前弯を保つ。
- 顎を軽く引き、耳たぶと肩峰が一直線になる位置に。
- 目線は水平で、顔の筋肉はリラックス。
筋肉の活動とエネルギーライン
- 主に働く筋肉:大腿四頭筋、臀筋群、腹横筋、脊柱起立筋、僧帽筋下部線維。
- 伸びを感じる部位:ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)、胸部、ハムストリングス。
- 足裏から頭頂まで、垂直のエネルギーラインを意識して全身を統合。
このアライメントを習得することで、タダーサナは単なる立位ではなく、全ての立位ポーズや日常の姿勢改善の基礎となります。
山のポーズ(タダーサナ)で使われる主な筋肉と解剖学
タダーサナは静止しているポーズですが、実は全身の筋肉が連動して働いています。特に以下の筋肉を意識することで、ポーズの効果を最大限に引き出すことができます。
- 足裏の筋肉(足底筋など):足のアーチを引き上げ、大地を安定して捉える役割を果たします。この筋肉が活性化することで、土台がしっかりし、全身のバランス感覚が高まります。
- 大腿四頭筋・内転筋:膝のお皿を引き上げ、太ももの前と内側を引き締めます。「内ももを寄せ合う」意識を持つことで、骨盤が安定し、脚の軸が整います。
- 腹横筋・多裂筋:インナーユニットと呼ばれる体幹の深層筋群です。下腹部を薄く引き込むことで腹横筋が、背骨を安定させることで多裂筋が働き、天然のコルセットのように体を支えます。
- 僧帽筋・広背筋:肩甲骨を背中側に引き下げることで、僧帽筋が肩の緊張を和らげ、広背筋が胸を開くのを助けます。これにより、呼吸が深まりやすくなります。
これらの筋肉がバランスよく働くことで、骨格が正しい位置に保たれ、安定した「一本の軸」が生まれます。
なお、解剖学を詳しく学びたい方は以下の本がおすすめです。
解剖学の本については以下も参考に。
初心者が山のポーズ(タダーサナ)を安定させるコツ
山のポーズ(タダーサナ)は一見シンプルですが、初心者のうちは重心が前後に揺れやすく、姿勢が崩れやすいポーズです。ここでは、初心者が安定感を高めるためのポイントを紹介します。
- 壁を背にして立つ
かかと・お尻・肩・後頭部を軽く壁につけて立つと、背骨の自然なカーブと正しい重心位置を感じやすくなります。 - 足幅を腰幅にする
両足を揃えるとバランスが取りにくい場合は、腰幅に広げて安定感を出します。 - 視線を一点に固定する
目線を正面の一点にやさしく固定することで、揺れが減り集中しやすくなります。 - 足裏の4点を意識する
親指の付け根・小指の付け根・内かかと・外かかとに均等に体重をかけることで、自然に姿勢が安定します。 - 膝をロックしない
膝を突っ張るとバランスを崩しやすく、腰にも負担がかかります。軽く緩めて柔らかさを保ちましょう。 - 呼吸に意識を向ける
姿勢だけに集中せず、ゆったりとした腹式呼吸を行うことで、体と心が落ち着き安定します。
山のポーズ(タダーサナ)のよくある間違いと修正方法
- 膝がロックされている → 軽く緩めて柔らかさを保ち、膝裏に少し余裕を持たせる。
- 腰が反りすぎている → 尾骨を軽く下げ、下腹部を引き込み、骨盤をニュートラルに保つ。
- 肩が上がっている → 肩甲骨を背中側へ下げて首を長く保つ。
- 重心が前や後ろに傾いている → 足裏の4点(親指の付け根・小指の付け根・内かかと・外かかと)に均等に体重を乗せる。
- 顎が上がっている → 軽く顎を引き、後頭部を天井方向に伸ばす意識を持つ。
- 胸や肋骨が前に突き出ている → 下位肋骨を軽く引き込み、体幹を安定させる。
- 足の指が縮こまっている → 指を軽く広げてリラックスさせ、床を優しく捉える。
- 呼吸が浅い → 背骨を長く保ちながら深く呼吸し、胸とお腹の両方に空気を送る。
タダーサナをはじめヨガのポーズを本格的に学びたい方は以下の本が参考になります。
その他以下の記事も参考に。
山のポーズ(タダーサナ)と瞑想の相性
山のポーズ(タダーサナ)は、全身をまっすぐに整え、呼吸を深めるため、立位で行う瞑想の姿勢としても非常に適しています。
足裏から大地を感じ、頭頂まで一本の軸を通すことで、体が安定し、心が静まりやすくなります。
座って行う瞑想では、長時間の姿勢維持が難しいと感じる人もいますが、タダーサナなら膝や腰に負担がかかりにくく、短時間でも集中しやすいのが特徴です。
特に朝の練習では、山のポーズで数分間立ちながら呼吸に意識を向けることで、一日のスタートを落ち着いた心で迎えることができます。
ポイントは、視線を柔らかく正面の一点に置き、体の揺れを最小限にしながら呼吸の流れを感じること。
吐く息で余分な緊張を手放し、吸う息で新鮮なエネルギーを全身に満たすイメージを持つと、より瞑想効果が高まります。
タダーサナは、静と動をつなぐ立位瞑想の入り口。
ヨガの練習だけでなく、日常生活の中でも心を落ち着けたいときに取り入れてみましょう。
タダーサナは、動的なポーズではないからこそ、内側に意識を向ける瞑想的な効果が高いポーズです。この効果は、科学的にも説明できます。
- 呼吸と自律神経の安定:タダーサナの正しい姿勢で行う深い腹式呼吸は、心身をリラックスさせる副交感神経を優位にする効果があります。これにより、心拍数が落ち着き、血圧が安定し、日常のストレス軽減に役立ちます。
- マインドフルネスの実践:足裏の感覚、内ももの引き締め、背骨の伸び、呼吸の流れなど、体の各部位に意識を集中させることは、まさにマインドフルネス(今この瞬間に集中すること)の実践です。思考のざわめきから離れ、体の感覚に意識を向けることで、心が静寂を取り戻します。
- ボディスキャンの応用:タダーサナで立ちながら、足元から頭頂まで体の各部位の感覚を丁寧に観察する「ボディスキャン」を行うことができます。これにより、無意識の緊張に気づき、それを手放す練習にもなります。
このようにタダーサナは、単なる身体的なポーズを超え、心と体を深くつなぐためのパワフルなツールとなります。
瞑想に関する本はこちらがおすすめです。すごくわかりやすいです。
山のポーズ(タダーサナ)を毎日練習するメリット
山のポーズ(タダーサナ)は、数あるヨガポーズの中でも負担が少なく、毎日続けやすいポーズです。短時間でも集中して行うことで、以下のような効果が期待できます。
- 姿勢改善の習慣化:毎日タダーサナを行うことで、正しい姿勢の感覚が体に定着します。デスクワークやスマホ使用による猫背・反り腰の予防にもなります。
- 体幹と脚の強化:一見静止しているだけに見えますが、足裏から体幹まで多くの筋肉を使うため、自然に下半身と体幹が鍛えられます。
- バランス感覚の向上:足裏の4点に均等に体重を乗せる練習を繰り返すことで、重心のコントロールが上達し、転倒防止にもつながります。
- 呼吸と心の安定:姿勢を整え、深い呼吸を意識することで、自律神経が整い、日常のストレス軽減や集中力アップに役立ちます。
- 他のヨガポーズの土台作り:タダーサナで培った「軸の意識」は、戦士のポーズやバランスポーズなど、他のアーサナにも応用できます。
1日わずか1〜3分でも、毎日の積み重ねが体と心に大きな変化をもたらします。
朝のルーティンや就寝前のリラックスタイムに取り入れることで、無理なく継続できます。
太陽礼拝と山のポーズ(タダーサナ)の関係

山のポーズ(タダーサナ)は、太陽礼拝(Surya Namaskar)の最初のポーズであり、また最後のポーズでもあります。
太陽礼拝の冒頭でタダーサナをとることで、足裏から頭頂まで一本の軸を意識し、姿勢と呼吸を整えた状態で次の動きに入ることができます。
また、最後にタダーサナで立ち戻ることで、全身のエネルギーを再び中心に集め、心と体を安定した状態へと導きます。
太陽礼拝は一連の流れが速くなりがちですが、この山のポーズの静止時間が、練習全体の質を左右します。
ここでの軸の感覚や重心の位置は、戦士のポーズやダウンドッグなど他のポーズにも活かすことができ、怪我の予防にもつながります。
太陽礼拝に関しては以下の記事を参考に。
👉太陽礼拝を108回に挑戦
山のポーズ(タダーサナ)からダウンドッグへの移行方法

山のポーズ(タダーサナ)とダウンドッグ(アド・ムカ・シュヴァーナーサナ)は、ヨガの基本ポーズ同士で相性が良く、シークエンスの中でスムーズに移行できます。ここでは解剖学的ポイントを意識しながら、流れを解説します。
タダーサナでの正しいアライメント
- 足は腰幅、足裏全体で均等に床を踏みしめる
- 膝をロックせず軽く伸ばす
- 骨盤はニュートラル、腹部を軽く引き締める
- 肩は下げて耳から離し、頭頂を天井に引き上げる
アルダ・ウッタナーサナを経由
- 息を吐きながら、股関節から前屈(膝を軽く曲げてもOK)
- 指先または手のひらを床につけ、背筋を伸ばす
プランクポーズへ
- 両手を肩幅、しっかり床を押しながら両足を後ろに一歩ずつ引く
- 体幹を安定させ、頭からかかとまで一直線をキープ
ダウンドッグへ移行
- 息を吐きながら腰を高く持ち上げ、三角形の形に
- 膝を軽く曲げて背中をまっすぐに保ち、徐々にかかとを床へ近づける
- 首をリラックスし、目線は足またはおへそ
ポイント
- 背中の伸びを優先(かかとを無理に下ろさない)
- 肩甲骨を外に広げつつ、腕で床を押す
- 呼吸は深く、動きに合わせて
ダウンドックの詳細は以下を参考に。
👉ダウンドックのポーズを学ぼう
Q&A:山のポーズ(タダーサナ)でよくある質問と解決策
- Q長時間立っていると足の裏や膝が痛くなります。どうすればいいですか?
- A
重心の見直しと、膝の「ロック」を避けましょう。
足裏全体、特に親指の付け根、小指の付け根、内かかと、外かかとの4点に均等に体重をかける意識を持つことが大切です。重心がどちらかに偏ると、特定の部位に負担がかかりやすくなります。
また、膝をピンと伸ばしきった「ロック」した状態は、関節に直接的な負担をかけます。膝のお皿を軽く引き上げるように意識し、膝裏に少しだけスペースを持たせることで、下半身の筋肉がバランス良く働き、関節への負担を軽減できます。
- Q呼吸が浅く、集中できません。
- A
姿勢を整え、吐く息に意識を向けてみましょう。
呼吸が浅くなる原因の一つに、体の緊張や姿勢の崩れがあります。タダーサナで背骨を長く伸ばし、胸を開くことで、肺が広がり、呼吸が自然と深まりやすくなります。
また、深く吸うことよりも、長くゆっくりと息を吐き切ることに意識を集中してみてください。吐く息とともに体の中の余分な力や緊張を手放すイメージを持つと、心が落ち着き、集中力が高まります。
- Q猫背がひどくて、まっすぐ立てているか分かりません。
- A
壁を背にして練習してみましょう。
まず、壁を背にして立ち、かかと、お尻、背中(肩甲骨の間)、後頭部を軽く壁につけます。この状態で、背骨の自然なカーブや正しい重心の位置を感じ取ります。特に腰と壁の間に手のひら一枚分のスペースがあるのが理想的なニュートラルポジションです。
壁から離れても、この「壁に沿った感覚」を思い出しながらポーズをとることで、正しい姿勢の感覚を体に定着させることができます。
- Q腕や肩がリラックスできません。
- A
肩甲骨を意識して、腕は自然に。
肩が上がって首がすくんでしまうと、肩や首に余計な力が入ってしまいます。タダーサナでは、肩甲骨を背中側に軽く引き下げ、耳から遠ざけるように意識します。これにより、首が長くなり、肩まわりの緊張が解放されます。腕は無理に前後に向けず、手のひらを内側や前方に向け、体の横に自然に下ろしましょう。
- Qどのくらいの時間、ポーズを維持すればいいですか?
- A
初心者は短時間から始めて、少しずつ伸ばしましょう。
最初は1〜2分程度から始め、ポーズ中の体の感覚や呼吸に意識を向けます。慣れてきたら、3〜5分と時間を延ばしてみてください。大切なのは「長く続けること」よりも「集中して丁寧に行うこと」です。毎日少しの時間でも継続することで、体と心の変化を感じられるようになります。
まとめ
山のポーズ(タダーサナ)は、一見シンプルに見える立位のポーズですが、正しいアライメントで行うことで、全身のバランス・姿勢・呼吸を整える効果があります。
足裏の4点を意識して大地を押し、内ももや体幹を引き上げ、頭頂まで軸を通す感覚は、他のアーサナの土台となり、日常生活の姿勢改善にも役立ちます。
本記事では、日本語と英語の両方でタダーサナのやり方と効果を解説しました。
英語インストラクションを取り入れて練習すれば、海外でのヨガクラス参加や、英語での指導にも自信を持てるようになります。
ぜひ、日々のヨガ練習の中でこの「一本の軸」を意識し、山のポーズの奥深さを味わってみてください。
静けさの中にある力強さが、あなたの心身を安定させ、次の一歩を軽やかにしてくれるはずです。
「タダーサナで培った「一本の軸」の感覚は、ヨガの練習を深めるための重要な土台となります。ヨガインストラクターを目指す方や、さらに専門的な知識を学びたい方は、RYT200(全米ヨガアライアンス)の資格について解説した記事やRYT200の人気ランキングもぜひご覧ください。
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